- 折り入ってお願いがあります…
- 折り入ってご相談があります…
といった言葉遣い。
実際のビジネスシーンではどう使うのでしょうか。
「折り入って」という言葉を仰々しく感じて
実際に自分で使う場面はなかなか思い浮かばない
そんな声が多く聞こえてきます。
そこでこの記事では
- 「折り入ってお願いがあります」
- 「折り入ってご相談があります」
について、ビジネスシーンでの使い方や例文を
具体的なシチュエーションとあわせて徹底的に紹介していきたいと思います。
「折り入って」の意味と使い方
「折り入って」の辞書的な意味は相手を信頼して、真面目な態度で特別な頼み事や相談事をするさま。
出典:大辞林 第三版
ということなので、
相手に対して「特別な」お願いや相談をする意味になります。
心を込めて、込めて、込めて!
というくらいに心を込める様子
を表現することが由来とされていることからも
相当な重たさを意味する言葉です。
ですので、当然、慎重な使い方が必要となり、
「折り入って」という言葉自体は敬語表現ではないことを踏まえると
- 人前でも話ができる内容を「折り入って」で切り出さない
- 「折り入って」という言葉自体、人前で使うには注意が必要
- 目上の方には「折り入って」に続く言葉を敬語表現にする
という点を意識しないといけません。
それでは具体的なシチュエーションに沿って、詳しい例文を確認していきましょう。
「折り入ってお願い」する時のビジネス例文
「折り入ってお願い」がある時の例文から紹介します。「折り入って」自体が重たい言葉なので、
当然、それに続くお願いの内容も重たくなることが前提です。
軽いお願いに「折り入って」と使ってしまえば、肩透かしにあったイメージを相手に与えてしまいます。
そしてお願いできる相手には「あなたしかいない」ということも強調すると、
より会話に切実さが増し、お願いを引き受けてもらいやす雰囲気を作ってくれます。
先ほど、「折り入って」の使い方のところで紹介した
を踏まえ、別室で「折り入って」とともに、具体的な内容を切り出すようにしましょう。
それでは、まずは、
- 上司が急な出張でお客さんとの大切な打ち合わせに出席できなくなる
- 白羽の矢を立ったのが鈴木さんで代役を依頼するシチュエーション
【呼び出し方】
上司が部下に対して口頭で「今後のことについての相談」という内容で小会議室に呼び出す。
【実際の会話例(例文)】
—– 呼び出し時 —–
鈴木さん、申し訳ないけどちょっといいかな?(デスク近くに呼び出す)
仕事のことで話がしたいんだけど…小会議室を取ってあるから、移動しよう。
—– 移動後 —–
忙しい時期なのに申し訳ない…。時間を作ってくれてありがとう。
実は、鈴木さんに折り入ってお願いしたいことがあってね。
知っての通り、私は明日から急な出張で中国へ2週間行かなくちゃいけない。
となると、予定していたお得意様との打ち合わせに行けなくなってしまう。
そこで、ぜひ鈴木さんに対応をお願いしたいと思っているんだ。
すごく大切な打ち合わせだからこそ、鈴木さんにしか頼めなくてね…。
負担が大きいことは重々承知しているけど…引き受けてくれないだろうか?
もちろん、このことは部長にも報告済みで、了解を得ているのでその点は安心してほしい。
別室に呼び出してから「折り入って」と切り出したいですね。
当然、急な出張に伴う大事な仕事のピンチヒッターを頼むという重たい話です。
続いては、
- 田中部長が退職からのお願い
- 後任に右腕の岡本氏を推している状況
【呼び出し方】
内線電話で直接岡本氏をを会議室に呼び出してお願いをする。
【実際の会話例(例文)】
—– 呼び出し時 —–
お疲れ様。
田中だけど、岡本くん、少し時間をくれるかな?
今から会議室で話したいことがあるんだ。
申し訳ないけど、よろしく。
—– 移動後 —–
急に呼び出してしまって申し訳ない。
岡本くんに折り入ってお願いしたいことがあって時間を作ってもらった。
実を言うと、私は再来月、この会社を退職しようと考えている。
そうなると私の役職に、次に誰を推薦するかを決めないといけないことは君も承知のことだと思う。
そこで、私としては、常日頃から私を支えてきてくれた岡本くんが適任と考えているんだよ。
どうだろう?
私の勝手なお願いで申し訳ないんだが、前向きに検討してもらえないだろうか?
「折り入って」の使い方もさることながら、
”君しかいない”と伝えることで、お願いを承諾してもらいやすい雰囲気が出て来ます。
「折り入ってご相談」する時のビジネス例文
次は「折り入って相談」の使い方を説明していきます。。注意すべき点は、「折り入ってお願い」と同じです。
・大切な相談を別室で
を意識しましょう。
まずは、
- 誰も引き受けたがらない仕事の相談
- 嫌な仕事も頑張ってこなしてくれる佐藤くんに最後の手段として相談
【呼び出し方】
職場では話しにくいため近くの喫茶店に呼び出す。
【実際の会話例(例文)】
—–呼び出し時—–
佐藤くん、今、ちょっといいかな?(デスク近くに呼び出す)
話したいことがあるんだけど、ここじゃなんだから近くの喫茶店にいこう。
—– 移動後 —–
佐藤くん、こんなところに呼び出してしまって申し訳ないね。
実は、佐藤くんに折り入って相談したいことがあるんだ。
というのも、君も知っての通り、山本さんと村上さんとの仲がこじれにこじれてしまってね。
村上さんが山本さんとは一緒に仕事ができない、と途中で仕事を投げ出してしまってる状況なんだ。
上司である私の力不足と言われればそれまでなんだが、村上さんが急ぎの仕事を抱えていて、とにかく早急に対応しなくちゃいけない。
そこで、村上さんのフォローを課内のメンバーの誰に頼むのが適任だろう。
私としては、人当たりが良くて誰に対しても好かれる高木くんなんかが適任だと思ってるんだが、どうだろう?
相談であっても別室なりで話をするのが得策ですね。
続いては、
- 現在の仕事を辞めて転職を考えている
- 迷っていることを何かと頼りにしている上司に相談
【呼び出し方】
直接、口頭でアポを取って会議室に来てもらう
【実際の会話例(例文)】
—– 呼び出し方 —–
岡本課長、急で申し訳ございませんが、17時から少しお時間よろしいですか?
お話したいことがありまして、できれば会議室でお願いしたいのですが。
—– 移動後 —–
お忙しいところお時間をつくっていただきありがとうございます。
岡本課長に折り入ってご相談させていただきたいことがありまして、お時間頂戴しました。
実は今、転職を考えていて、心底悩んでいる状態です。
いつも何かとご相談させていただいている課長のアドバイスをいただいて、方向性を決めたいと思っております。
はっきりとした自分の意思を決めかねていて大変申し訳ないのですが、話を聴いていただけないでしょうか。
目上の人に「折り入って」を使う場合は、そのあとに続く言葉を敬語ですることで対応しましょう。
まとめ
「折り入ってお願い」「折り入ってご相談」は、- 上司から部下へ
- 部下から上司へ
と使用して問題ありません。
また、言葉に相当な重みがあるため、
大切なことをお願いする・相談する
ときに使用するようにしましょう。
大切な話なだけに、
別室で「折り入って」と切り出すこと
も忘れてはいけません。
こうした注意点を意識して、
2つの言葉をビジネスシーンで使いこなしていきましょう。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。