「○○さんに折り入ってお願いなんですが…」
と上司から呼ばれた会議室で切り出された言葉。
この時の
「折り入って」
には独特の緊張感と重みを感じますよね。
それだけに、特にビジネスの現場で
「折り入って」の使い方や使いどころを誤ると
・相手に違和感を感じさせたり、
・言葉の重みを失わせたり、
ひいては、あなたへの信頼感が揺らぐことにもなりかねません。
そこで、この記事では、
特に、ビジネスシーンでの「折り入って」の言葉遣いを誤らないようにするため
- 「折り入って」の意味
- 「折り入って」の使い方
- 「折り入って」を使った具体例
について詳しく紹介していきます。
「折り入って」の意味
まず「折り入って」とは、「おりいって」
と読みます。
辞書では、
相手を信頼して、真面目な態度で特別な頼み事や相談事をするさま。とされています。
(大辞林 第三版)
あくまでも、
真面目に「特別な」お願いや相談をする場合に使う言葉で、
「折り入って…」が入るだけで、重たいものになることが辞書的にも理解できます。
由来
この「折り入って」の意味にはどのような由来があるのでしょうか。「折り入って」は動詞の「折り入る」が変化したものですので、この「折り入る」の由来から考えてみます。
「折り入る」の意味は、
深く心をこめる。(大辞林 第三版)というものです。
そして、
この「折り入る」の「折り(おり)」は動詞「折る」が変化したものです。
かつて鉄の斧が登場する前、石の斧で木を叩き“折って”いた時代、
木を切ることは、「切る」というより「折る」とか「割る」といったイメージでとらえられていました。
そこから、「折る」は木が「折れ曲がる」イメージや「割って曲げる」イメージを連想させることになります。
さらに、「折る」に「入る」が加わることで、「割って曲げたところに入れる」という意味になります。
これが心情的な意味合いとなって、「心を割って入れる」ということになり、
現代では「深く思いを入れる」となっているのです。
諸説ありますが、このような由来があります。
いずれにしても、
「折り入って」には、その由来からしても相当重たい意味があるということがわかります。
「折り入って」の使い方
ここまでの説明の通り、「折り入って」は、特別なお願いや相談をする場合に使用する言葉です。そうした言葉の意味から、
使い方においては
- 人前でも話ができる内容を「折り入って」で切り出さない
- 「折り入って」という言葉自体、人前で使うには注意が必要
- 目上の方には「折り入って」に続く言葉を敬語表現にする
の3点に注意する必要があります。
というのでは、相手にとって肩透かしとなってしまいます。
逆に、「折り入って…」に続く真剣な話を立ち話で続けてしまうと、
と、相手に気を遣わせてしまうことになりかねません。
例えば、
上司が複数の部下の前で
と言ったとたん、それを聞いた部下たちは
内容は詳しくわからなくても、「特別な依頼や相談の存在」があることを知ってしまいます。
そうなると、
”〇〇さんに何の話だ?”
と色めき立ちますし、それは当該の部下にとっても良いことではありません。
至急の案件であっても、個別に相対する場で「折り入って」と切り出すことが望ましいでしょう。
ですが、目上の方に対してもそのまま用いることができます。
というのも、通常、「折り入って」の後には依頼(お願い)や相談が続きますので、
「折り入って」に続く言葉を敬語で表現すればいいと考えられているからです。
「折り入って」の具体的使用例
特別な依頼や相談をする際に活躍する言葉ですので、それぞれのシチュエーションで考えてみましょう。依頼をする時
例えば、- 事前にメールや社内チャットで会議室へ佐藤さんを呼び出す
- 「佐藤さんちょっといいかな」とそれとなく会議室へ佐藤さんを呼び出す
と相対して話をする状況まで配慮し、相対してから
忙しいところ時間をとってくれてありがとう。
実は、折り入って佐藤さんにお願いしたい仕事があって、わざわざお時間とってもらいました。
知ってのとおり、今月末で田中さんが退職されるということなんだけど、残念ながら今のところ後任に適当な人材の配置が間に合いそうにありません。
そこで、佐藤さんには本当に申し訳ないんだけれど、後任が配置されるまでの暫定的な期間だけ、田中さんが担当していた仕事を引き受けてもらえないだろうか。
・・・
相談をする時
また、例えば、- 事前にメールや社内チャットで山本課長へ相談を打診
【メールでの打診例】
お疲れ様です。
課内の業務連携の件で、課長に折り入ってご相談させていただきたいことがあります。
お忙しいところ誠に申し訳ないのですが、少しお時間いただけませんでしょうか。
課長席で直接「折り入って」という言葉は使いにくいので、メールなどで事前に打診することが適当です。
また、その際、「〇〇さんと××さんの人間関係で相談」では、生々しいので、「課内の業務連携の件」など、それとなく内容を伝えられる言葉で打診してみましょう。
【会議室でのやり取り】
メールなどでの打診の後、相対する状況になってから、
課長、お忙しいところお時間いただき申し訳ございません。
課内の業務連携についての、折り入ってのご相談というのは、実は、〇〇さんと××さんの関係のことでして。
課長もご存知のように、この2人というのが…
実際に相対して相談する際に、具体的な用件を伝えるようにします。
まとめ
「折り入って」という言葉の意味や具体的な使い方をイメージしていただけましたでしょうか。重たい言葉なだけに、
ここぞというときに使うことができれば
相手にもその重みをしっかりと認識してもらうことができますね。
シチュエーションに沿って自在に言葉を引き出せるようになるのもビジネススキルの1つだと思います。
この記事があなたのビジネススキル向上の一助となれば幸いです。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。