酉の市(とりのいち)というのは、神社やお寺に屋台が並び威勢のいい掛け声が飛び交うお祭りで、夜遅くまで大勢の人でにぎわう晩秋の風物詩とも言われる行事です。

酉の市の季節になるとよくテレビなどでも中継で紹介されているので、映像では見たことがある人も多いと思います。

そして、酉の市で売られているものといえば、縁起ものの装飾が付いた大小さまざまな大きさの熊手(くまで)。


そもそも、酉の市で熊手を買うのにはどんな意味があるのでしょうか。


この記事では、

  • 酉の市で買う熊手にはどんな意味があるのか
  • 熊手の値段や買い方
  • 酉の市で有名な神社で熊手を買うとご利益が大きいのか
  • 熊手の飾り方と処分の仕方
などについてご紹介します。



酉の市とは

酉の市は、商売繁盛の神と言われる鷲(大鳥)を祭る大鳥神社のお祭りで、一年の無事を感謝して新しく迎える年の商売繁盛や開運を願います。

酉の市が行われる神社やお寺では、たくさんの装飾が付いた熊手や招き猫、おかめのお面などの「縁起もの」を売る屋台が並びます。
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商売をしている一般の企業、自営業や飲食店などの人はもちろん、友人同士やファミリーでお祭りを散策に来る一般のお客さんもたくさん来ますし、金運アップや家内安全ななどを願って熊手を買う方も多いです。


主に東京を中心とした関東地方の各地の「とり」にまつわる神社で行われていますが、酉の市が行われる時期は11月の酉の日に行われることが決まっています。

子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の順に12年ごとに干支が巡ってくるように、日付にも干支が割り振られており、酉の日とはその「酉」に当たる日のことで、12日ごとに巡ってきます。

11月の一番初めの酉の日を「一の酉」、次を「二の酉」、三番目を「三の酉」と呼び、三の酉のある年は火事が多いという言い伝えもあります。

酉の市は正式には酉の祭(とりのまち)といいますが、「おとりさま」「おとりさん」などと親しみを込めて呼ばれることもあります。

2019年は二の酉までですね。
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酉の市の熊手

酉の市で売られている熊手は、大判小判おかめ松竹梅七福神米俵大入り袋など、縁起ものがたくさん鈴なりに飾られたもので縁起熊手とも呼ばれます。

なぜ、酉の市では縁起ものとして熊手を買うようになったのでしょうか。

熊手を買う意味

熊手というものは落ち葉などをかき集めたりするもので、昔は農機具の一つとして穀物を扱うのにも使われていました。

酉の市は、もともと農作物の収穫を祝うお祭りとして行われていたという経緯から、農作物と共に農機具である熊手も売られていたのです。

そしていつからか江戸っ子のしゃれや言葉遊びをきっかけに、熊手が「金銀をかき集める」「運をかき込む」などといった意味を持つようになり「かっこめ」「はっこめ」とも呼ばれています。

そしてその熊手に縁起物を飾りはじめ、さらに時代と共に飾りものも増やしていって今のような形で商売繁盛と開運のためのお守りになっているのです。

熊手の値段(相場)と買い方

酉の市では色とりどりの縁起熊手に目が引かれますが、小さいものは1,000円くらいから、たくさんの縁起もので装飾された大きなものだと10万円くらい(中には40万円とか)と、値段にはかなり幅があります。


基本的に縁起熊手は前の年よりも大きいものを買うと縁起がいいとされているため、最初は小さくてお値段も安いものから買うことが習わしとなっています。



ただ、一般の人が毎年大きいものに買い替えていくというのも大変なので、毎年同じ大きさのものを買ってもかまいません。

良く売れる相場としては、大体10,000円~50,000円くらいの価格帯のものですが、業績不振や身内の不幸などがあった年はあえて小さい熊手にするといった風に、その時々の自分の状況に応じて買う熊手を決める方もいらっしゃいます。



また、熊手を買う時「粋」とされる買い方が存在するのでご紹介します。

ほとんどの場合熊手には値段が書いていないので、欲しい熊手を決めたらまず、売っているお店の人に値段を聞きます。

その値段よりも価格を下げてもらえないか値切りの交渉をし、納得する値段になれば商談成立。

ただ、ここで値下げされた値段のお金を払うのではなく、最初に教えてもらった値段で支払い、差額は「ご祝儀」として渡すのが「粋」な買い方です。

こうした買い方を続けて毎年同じお店で買うようにしたりして顔なじみになると、酉の市の名物である威勢のいい掛け声と共に三本締めの手締めをしてくれるようになるようです。



せっかくなら、このようなやり取りをして酉の市を楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。



熊手の飾り方

酉の市で熊手を買ったら家や職場に飾りますが、どこに飾ったらいいのか、決まった方角があるのかなど迷うことも多いですね。

よりたくさんのご利益を得るために、熊手を飾るときに気を付けるべきことはどんなことでしょうか。

熊手を飾る場所
酉の市で買った熊手は「縁起もの」としてとらえるので、自分の願いや住宅事情によって限られたスペースで飾る場所を決めることになります。

低い場所は避けてなるべく人の目線より高いところを選びましょう。

ですが、天井ギリギリの高すぎる場所も運気の流れが悪くなるためおすすめできません。

場所は、神社やお寺から授与された熊手はお札として扱うので神棚・仏壇に飾ります。

縁起熊手も同様に、神棚や仏壇があればそこに、無ければ福を呼び込むと言われる玄関が良いとされています。

他には、リビングなどみんなが集まるところ、家の中心、柱、鴨井、タンスや棚の上などです。

どこに飾っても飾りっぱなしにせず、できるだけ清潔に保てるようこまめに掃除をするのも大切です。

また、清潔を保つためにはトイレやごみ置き場など汚れる場所に飾るのは避けた方がいいでしょう。

熊手を飾る方角
熊手の正面がどの方角を向いているのがいいか気にする人もいますが、基本的には北の方角を避ければどの方角でも良いとされています。

ただ熊手を飾る方角については諸説あり、東向きは仕事運や勝負運、西向きは金運や財運、南向きは地位や名誉といった、招きたい運によって方角を選んで飾ることもあります

他にも、その年の恵方を選んで飾ったり、合格祈願などの願い事があれば合格したい学校がある方角を選ぶといった飾り方もあります。

処分の仕方

熊手は毎年新しいものに替えるのが習わしとされています。

新しい熊手に取り換える時、今まで飾っていた熊手はどうしたらよいのか、そのまま捨ててもいいのか迷うところです。


正しい処分の仕方としては、熊手を買った場所に持っていって処分するのが一番良い方法です。

酉の市には「熊手収め所」という熊手を処分するスペースが設けられているので、新しい熊手を買う時に、古い熊手を持って行って処分します。


酉の市に行けない場合は、年末年始の初詣の時に神社で行われる「お焚き上げ」か、1月15日に行われる「どんと焼き」などでも処分することができます。


また自宅で処分することもできますが、その場合は各自治体の処分方法に準じることになりますが、小さいものならそのまま、大きなものなら解体して燃えるゴミとして捨てます。

できればそのまま捨てるのではなく、白い紙か新聞紙を用意して、その上で塩をかけて清めてから捨てると気持ちがいいですね。

どの処分方法を選んでも、例えご利益が芳しくなかったとしても「ありがとうございました」と、一年の感謝の気持ちを込めて処分すると良いでしょう。



酉の市が有名な神社

酉の市は鳥にゆかりのある神社で行われているお祭りですが、中でも酉の市の発祥と言われる東京浅草の「鷲(おおとり)神社・長國寺」は日本最大規模といわれています。

その他にも、酉の市が有名な神社が各地にありますのでご紹介します。

東京、横浜、大阪では?

酉の市は関東地方特有の行事ということで、各地でたくさんの神社で酉の市が行われています。

東京都内では、

  • 浅草の鷲神社・長國寺
  • 新宿の花園神社
  • 府中市の大國魂(おおくにたま)神社

この3つの神社が「関東三大酉の市」と呼ばれ特に有名で、毎年たくさんの人でにぎわいます。






また、同じく関東地方で横浜市の金刀比羅大鷲(ことひらおおとり)神社は横浜最大規模の酉の市として有名ですが、都内ほどの混雑ではないためゆっくり熊手を見ることができる穴場的なスポットとしても知られています。




酉の市には各地の大鳥神社で行われているものの、大阪府にある大鳥信仰の総本社「大鳥大社」では、11月の酉の日に「酉の日祭」が行われますが、関東地方のような夜遅くまでの屋台や熊手市などはありません。

関西では酉の市より1月10日前後行われる「十日戎」(えべっさん)の方が馴染み深いですが、酉の市とは似ていて全く違うものです。


酉の市は全国各地に広まっていますが、管理人が周りにも聞いたり調べてみたところ北海道では酉の市がないようです。

酉の市に馴染みがないため、縁起熊手を買って飾るという習慣もありません。熊手は年末に神社でひっそりと(?)売っている程度です。




有名な神社の方がご利益大?

商売繁盛や金運アップを願う酉の市ですが、何となく「有名な神社の方がご利益が大きいのでは?」と思ったりしませんか?

結論から言うと、ご利益の大きさに神社が有名かどうかは関係ありません。


たしかに、酉の市が行われる神社の中にはパワースポットと呼ばれる神社も存在します。

それに、最大規模の酉の市で有名な鷲神社には、撫でる場所によってご利益が変わると言われる「なでおかめ」や、鷲にちなんだゴルフ守や御朱印帳などもあり、商売繁盛以外のご利益も得ることができます。

そういった意味では、有名な神社の酉の市の方がご利益の種類が増えると考えるのがいいのかもしれません。


酉の市に行ったら熊手を買ったり屋台を楽しむだけでなく、神社にもきちんと参拝するとご利益をしっかりと得られるのではないでしょうか。


まとめ

商売繁盛や金運アップを願い一年の無事を報告する酉の市は、11月の酉の日に関東地方を中心に全国各地で行われているお祭りです。

酉の市では縁起物の熊手がずらりと並び、屋台も夜遅くまで楽しむことができるので、毎年大勢の人でにぎわいます。

運や福をかき込むといわれる熊手は、お店で値切り交渉したり買う時には三本締めをしてもらうなど昔からの粋な買い方や、小さい熊手から年々大きくしていくと縁起が良いとされる買い方があります。

価格の相場は10,000円~50,000円ほどのものが売れ筋です。


購入した熊手は、お守りとして職場や家の神棚や玄関などに飾ります。

北以外の方角を避ければ、どの方角に飾っても構いません。

熊手を処分する時は酉の市の「熊手収め所」に持って行くといいです。

熊手を買う時には、買い方や飾り方、処分方法などの習わしについても事前に知っておいた方がスムーズに買うことができますね。

参考になさってみてください。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。