カメチキンカメチキン

「存じ上げる」の使い方がおかしいって先輩から注意されちゃったんです…。



うさロングうさロング

イラストを使ってわかりやすく解説しましょう! 「存じる」と比較するとわかりやすいです。







「弊社の契約状況の詳細については存じ上げておりますので…」


と、お客様との電話を切ったあと、隣の先輩から、

「存じ上げる」の使い方が間違ってるよ

との指摘が…。


これは管理人の十数年前の経験談ですが、

あなたも、「存じ上げる」の意味や使い方について

・疑問に思った
・間違いを指摘された

なんて経験はありませんか?



「存じ上げる」を使いこなせる大人って、

なんだか洗練された社会人のイメージがありますよね。


でも、それって逆に言うと、

実際に自分が使うとなると

ハードルが高そうに感じてしまうということでもあります。


この記事では、そんな「存じ上げる」について

  • 「存じる」とあわせた意味
  • 「存じる」との違い・使い方
  • 具体的な例文

をわかりやすく説明していこうと思います。

うさロングうさロング

「存じ上げる」を使いこなしてワンランク上の大人のマナーを身につけましょう!


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「存じ上げる」の意味

広辞苑によると、

「存じ上げる」の意味は、

  • 「知る」「思う」の謙譲語。

  •  「よく存じ上げております」

となります。


ここで、「存じ上げる」をより理解するために、

「存じる」についての意味と比較してみましょう。


「存じる」については、

  • 「思う」「考える」の謙譲語。
  • 「ぞれがよろしいかと存じます」
  • 「知る」の謙譲語。
  • 「何も存じません」
広辞苑

となります。


「存じる」の元の語は「存ずる」です。

「存ずる」の活用が変化して「存じる」となるので、辞書(広辞苑)では「存ずる」で記載されています。

ですが、この記事ではわかりやすく説明するために「存じる」と表記することにします。


つまり、「存じ上げる」も「存じる」も

「知る」「思う」の謙譲語ということで共通

しているんですね。


「存じ上げる」をわかりやすくするための「存じる」の紹介だったはずなのに、なんだか混乱してしまいそうです。


実は、「存じ上げる」を理解する秘密は、「存じる」と共通するこの「謙譲語」に隠されています。

引き続き「存じる」と対比しながら説明していきましょう。


なお、「存じ上げる」「存じる」の意味については、この記事の冒頭に出てきた

「弊社の契約状況の詳細については存じ上げておりますので…」

といった、ビジネスシーンでの使い方問題となる

「知る」の意味での「存じ上げる」「存じる」に絞って解説を進めますね。

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「存じ上げる」と「存じる」の違いと使い方

この「存じ上げる」と「存じる」の謙譲語ですが、

同じ「謙譲語」なのに意味が異なります。


というのも、最近の小中学校では、

  • 「存じ上げる」といった謙譲語を謙譲語Ⅰ
  • 「存じる」といった謙譲語を謙譲語Ⅱ(丁重語と呼ばれることも)

として習っているんですね。


それぞれの意味ですが、

謙譲語Ⅰ

こちらの意味は、

自分の側の行為の向かう先の人を立てる言葉

とされていて、

  • 存じ上げる(←知る)
  • 伺う(←訪ねる)
  • 申し上げる(←言う)
  • お届けする(←届ける)

などがあります。


例えば、

  • そちらに伺う
  • →「訪ねる」という行為の向かう相手先を立てている。
  • 先生に申し上げる
  • →「言う」という行為の向かう相手先である先生を立てている。
  • お客様にお届けする
  • →「届ける」という行為の向かう相手先であるお客様を立てている。

といった感じで考えるとわかりやすいと思います。


これを、「存じ上げる」で当てはめてみると、

  • お名前は存じ上げています
  • →「知る」という行為の向かう相手先であるお客様を立てている。

ということになります。


ちなみに、謙譲語は、

・自分を低めることで相手方を高める表現

という意味で、尊敬語や丁寧語と比較するとイメージがわかりやすいと思います。




  • 尊敬語:相手方を高める表現
  • 丁寧語:自分の丁寧な気持ちの直接的表現で、相手を高める働きはない

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謙譲語Ⅱ

こちらの意味は、

自分の側の行為などを(話すなどしている)相手に対して丁重に述べる言葉

とされていて、

  • 存じる(←知る)
  • 参る(←行く・来る)
  • 申す(←言う)
  • いたす(←する)

などがあります。


例えば、

  • これから弊社事務所に参ります
  • →事務所に「行く」という自分の行為を、話している相手に対して丁重に表現している。
    →行く先の「弊社事務所」を立てているわけではない。
  • 父にもお礼を申しました
  • →「言う」という自分の行為を、話している相手に対して丁重に表現している。
    →言う先の「父」を立てているわけではない。
  • 部下にもそのように説明いたします
  • →「する」という自分の行為を、話している相手に対して丁重に表現している。
    →説明する先の「部下」を立てているわけではない。


これを「存じる」に当てはめてみると、

  • 母の病状については存じております
  • →「知る」という自分の行為を、話している相手に対して丁重に表現している。
    →「知る」先の「母」を立てているわけではない。

となります。

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わかりやすいイラスト

謙譲語ⅠとⅡの区別はできたでしょうか?

少しイメージがつきにくいかと思いますので、わかりやすいイラストを用意してみました。

【謙譲語Ⅰ(伺うの場合)】



・自分の行為は「伺う」(←訪ねる)
・行為の向かう先の相手を立てている。


【謙譲語Ⅱ(参るの場合)】



・自分の行為は「参る」(←行く)
・「参る」のは弊社事務所であり、話の相手ではない。
・話の相手には、自分が事務所に行くことについて「参る」と丁重に表現して伝えている。


【謙譲語Ⅰ(「存じ上げる」の場合)】



・自分の行為は「存じ上げる」(←知る(知っている))
・行為の向かう先の相手を立てている。


【謙譲語Ⅱ(「存じる」の場合)】



・自分の行為は「存じる」(←知る(知っている))
・「存じる」のは自分の母の病状であり、話の相手ではない。
・話の相手には、自分が母の病状を知っていることについて「存じる」と丁重に表現して伝えている。


イメージはできそうですか?


「存じ上げる」「存じる」のこのような違いを踏まえると、冒頭の、

「弊社の契約状況の詳細については存じ上げておりますので…」

の正しい表現は、

「弊社の契約状況の詳細については存じておりますので…」

となります。

つまり、

  • 自分の行為は「存じる」(←知る(知っている))
  • 「存じる」(=知っている)のは自分の会社の詳細情報である(←自分の会社を高めたり立てたりする「存じ上げる」はおかしい
  • 話の相手には、自分の会社の詳細情報を知っていることについて「存じる」と丁重に表現して伝えるべき

となるわけです。

具体的な使用例

それでは、これまでに確認した

  • 存じ上げる
  • 存じる

の意味、違い、使い方を踏まえて、具体的な使用例について紹介していきましょう。

これまでの「知る」の意味に加えて、「思う・考える」の場合の使用例についても紹介しています。

「知る」の意味の場合

まずは、「存じ上げる」の使用例から。


【存じ上げる】

  • お名前は以前から存じ上げています(おります)。
  • お顔は存じ上げています(おります)。
  • お人柄については存じ上げています(おります)。
  • あの方のことはよく存じ上げています(おります)。
  • 教授の書かれた論文のことは存じ上げています(おります)。

「おります」のほうがより丁寧な表現となります。


つづいては、「存じる」の使用例。


【存じる】

  • その件については存じています(おります)。
  • 父の病状については存じています(おります)。
  • 弊社の契約状況については存じています(おります)。
  • 部下の家族構成についても存じています(おります)。
  • そんなこととは露とも存じませんでした。

などがあげられます。

「思う・考える」の意味の場合

もちろん、謙譲語ⅠとⅡの考え方はそのままですが、

「知る」の意味で使う場合とは違い、使い方の区別はむずかしく考えなくても大丈夫です。


「存じる」よりも「存じ上げる」の方がより丁寧

と覚えておきましょう。


【存じ上げる】

  • ご健勝のことと存じ上げます。
  • 皆様もさぞお喜びのことと存じ上げます。


【存じる】

  • お忙しいところと存じますが、〜
  • お気の毒なことと存じます。
  • このような賞をいただき光栄に存じます。
  • お元気でお過ごしのことと存じ上げます。

などとなります。

まとめ


カメチキンカメチキン

誰を立てようとしての表現かがポイントですね。



うさロングうさロング

慣れるまでむずかしいですが、どんどん実践してみましょうね!


まとめると、

「存じ上げる」、「存じる」いずれも

・「知る」「思う・考える」の意味の謙譲語

で、

・「存じ上げる」は謙譲語Ⅰ
・「存じる」は謙譲語Ⅱ


と分類されます。


謙譲語のそれぞれの意味は、

  • 謙譲語Ⅰ:自分の側からの行為の向かう先の人を立てる言葉
  • 謙譲語Ⅱ:自分の側の行為などを(目の前で話している)相手に対して丁重に述べる言葉

となります。


自分の行為の向かう先が誰なのかを意識すると区別しやすいですよ。


うさロングうさロング

本文中のイラストや具体例も参考にして、ワンランク上の大人のマナーを身につけましょう!




それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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