喪服_疑問

会社関係者や友人から香典をいただいたのですが、お礼はメールで伝えても失礼にあたらないでしょうか?



うさロング2

メールなら手間をかけずにお礼ができたり、遠方でもすぐにお礼ができたりと便利ですよね。では、それがマナー的にどうなのか、整理してみましょう。







職場の同僚や遠方の友人からの香典

慣れないことへの対応なだけに

早くお礼を伝えたいけれどメールじゃ失礼なのかな…

といった悩みも意外に深いもの。


そこでこの記事では、
  • 会社関係者や友達にメールで香典のお礼を伝えてもいいのか?
ということについて徹底的に解説していきたいと思います。



香典のお礼はどう伝えるべきか

そもそも、香典のお礼の伝え方にはどんなものがあるでしょうか。

改めて考えてみると、

  • 直接会ってお礼を伝える
  • 電話でお礼を伝える
  • 礼状で伝える
  • メールで伝える
  • (最近なら)LINEで伝える

といったところでしょうか。


では、どのような順番でお礼を伝えるのが丁寧とされているのかと言うと、上記で並べた順番のとおりで、

直接会って伝える > 電話で伝える > 礼状で伝える > メールで伝える > (最近なら)ラインで伝える

となります。


丁寧さの順がなぜこのようになるかというと、そのヒントはあなたも葬儀で用意したであろう「会葬礼状」にあります。

あるいは、これから用意されるかもしれない「忌明けのあいさつ状」(香典返しの添え状)もそうですね。

  • 会葬礼状:通夜や告別式の際、参列者へ感謝の気持ちを込めて手渡される礼状
  • 忌明けのあいさつ:忌が明けてから香典返しの品を送る際に添えられるあいさつ状

例えば、

会葬礼状や忌明けのあいさつ状の定型表現として、

本来ならば直接参上してお礼申し上げるべきところ、略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます。

といった表現がありますが、

まさにこの表現が示しているのは、

直接会ってお礼を伝える > 礼状で伝える

であり、直接性が重視されるということですね。


つまり、直接性が薄まるにつれて丁寧さも失われていく、というイメージです。

なので、直接伝える>電話で伝える>礼状で伝える>メールで伝えるの順番となるわけです。



謝罪のケースを考えてもそうですよね。

やっぱり直接謝ってもらったほうが誠意を感じませんか?
(直接謝罪されるのは気持ち的に「重い」というのはさておき…)

文字になると表情や声のトーンが失われるので、心から謝ってるのかどうかわからないですもんね。

そういう意味では「お礼」も「謝罪」も誠意の表し方は同じということです。


ここで注意すべきなのは、香典(や会葬)のお礼の伝え方として礼状で伝えることは儀礼として一般的に認められている、ということです。


たしかに、直接性のルールからすると、礼状でお礼を伝えるのは電話でのお礼に次ぐ3番手の丁寧さです。

ですが、多数の相手方にいちいち直接出向いたり、電話をかけたりすることが実際的ではないことから、礼状でお礼を伝えることは広く認められているということです。



香典のお礼をメールで伝えるのはどうなのか?

それなら、お礼を伝える際の直接性という点では、お礼状もメールも文字だけで伝えるのですから、メールでのお礼も問題ないんじゃないかって考えたくなります。

ですが、残念なことに、今のところメールはお礼状ほど市民権を得ていません。

まだまだ

メールでのお礼はちょっと軽すぎるんじゃないの?

という声が圧倒的に多いです。
(これはyahoo!知恵袋などネット上でのリアルな声です。)


とはいえ、

  • 若い世代を中心にした最近のメール利用の感覚
    →メールでのコミュニケーションに慣れていて逆に礼状の方がピンとこない
  • 礼状よりもすみやかにお礼を伝えたい
    →直接会うのはもちろん、電話連絡もむずかしい場合がある

という事情もあります。

なので、香典のお礼の考え方としては、

儀礼的にお礼状を送ることが基本と理解しつつ、個別の事情から、メールでお礼することも許される場合がある

と考えるのが妥当です。


ということで、以下具体的な状況に沿って考えてみたいと思います。



会社関係者の場合

こちらの図をご覧ください。
↓↓↓


香典をいただいた場合の対応について整理してみました。

この記事で整理しているのは、香典をいただいた際の「お返し」ではなく「お礼」であることに注意してください。


さて、

基本的に、葬式の参列者へは会葬礼状をお渡しするので、お礼のための儀礼は済んでいます。

なので、改めてお礼を伝える必要はありません。


香典をいただいたお礼をすぐに伝えなければいけないのは、葬式には参列されずに香典だけが送られてきたような場合です。


ただし、会社関係の場合は、

  • 忌引休暇後すぐに顔を合わせる
  • 突然の忌引休暇で職場に迷惑をかけている

といった事情がありますので、たとえ会葬礼状で儀礼的にお礼が済んでいたとしても、職場復帰の際に直接口頭でお礼を伝えるべきです。

もちろん、葬式に参列されていない会社関係者には会葬礼状も届いていませんので、直接口頭でお礼を伝えましょう。


接客

ご迷惑をおかけして申しわけございませんでした。おかげさまで無事葬儀を執り行うことができました。また、ご香典についてもお気遣いいただきありがとうございました。



といった感じで、職場復帰のあいさつと香典のお礼を兼ねるのが無難ですね。
(連名での香典であれ、個人での香典であれ変わりありません)

もし、直接会うことがむずかしくても電話連絡できるのなら、電話で上記お礼を伝えましょう。


ただ、問題は、

シフト、勤務地の違い等の関係で電話連絡もままならない

といった会社関係者には電話連絡すらむずかしい場合があるでしょう。


こんな場合は、まさに

  • 若い世代を中心にした最近のメール利用の感覚
  • 礼状よりもすみやかにお礼を伝えたいが電話連絡もむずかしい

という状況を踏まえ、よほど年長の上司でない限り、メールでのお礼も許されると考えてよいでしょう。



会社関係者への香典お礼メール例文

では実際、どのようにメールを書けば良いのか例文を紹介しましょう。

書くべき内容は、口頭でお礼する場合と同じような内容になりますので、

  • 香典についてのお礼
  • 職場に迷惑をかけた旨の謝罪
  • 葬儀を執り行えたこと

となります。


ここでは、葬式に参列されなかったため、儀礼的なお礼もまだ済んでいない会社関係者を想定しています。

メールでは香典のお礼がメインとなるので、本文の記載順もお礼から始めたほうがいいですね。


メールで文字化してのお礼なので、どうしても会葬礼状や忌明けのあいさつ状のような固めの文章になります。


【件名】ご香料へのお礼
○○様
亡父の葬儀に際しましては、格別なご香料を賜り、厚くお礼申し上げます。
忌引休暇中には、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
おかげさまで、滞りなく葬儀を終えることができ、本日より出社いたしております。
略儀ながら、お礼かたがたごあいさつ申し上げます。


ご香料の表現は、ご厚情/ご芳志/ご厚志/お花料/ご香典などで置き換えが可能です。

ここで「ご香典」を使わなかったのは、ちょっと直接的な表現すぎるかなと気になったことが理由です。

「ご香典」でもマナー違反というわけではありません。


もちろん、メールを送るのは、本文にもあるように職場復帰のタイミングですね。



友達の場合

友達から香典をもらった際のお礼はどう伝えるのが良いでしょうか?

考え方は会社関係者の場合と変わらないので、

基本的に、葬式の参列者へは会葬礼状をお渡ししているので、改めてお礼を伝える必要はありません。


すぐにお礼を伝えたいのは、葬式には参列されずに香典だけが郵送されてきた友達に対してです。

この場合も、会社関係者と同じく、直接性の原則から電話でお礼を伝えたほうが丁寧です。


ただし、友達の場合でも、早々に直接会う機会があるなら、改めて一言お礼は伝えておいたほうがスマートです。

接客

忙しいのに告別式にまで参列してくれてありがとう。ご香典まで気を遣ってくれて本当にありがとうね。心配かけたけどもう大丈夫だよ。


といった感じで相手にも重たくならないよう軽くですね。



とはいえ、友人の場合でも、
  • 遠方の友人でしばらく直接会う機会はなさそう
  • お互いの仕事の都合で電話連絡もむずかしい
というようなことはあるでしょう。


この場合も、

  • 若い世代を中心にした最近のメール利用の感覚
  • 礼状よりもすみやかにお礼を伝えたいが電話連絡もむずかしい

という事情を踏まえて、メールやLINEでのお礼もやむを得ません。

友達への香典お礼メール・LINE例文

友達へのメールやLINEなので、会社関係で紹介したメール内容をくだけた表現に置き換えて書くイメージで良いです。

ここでは葬式には参列されずに、香典だけが郵送されてきた場合を想定します。

【件名】ご香典へのお礼
〇〇へ
ご香典、気を遣ってくれてありがとう。
おかげさまで無事に葬儀も終えることができたよ。
心配かけたけどもう大丈夫。
しばらくバタバタしそうだけど、落ち着いたらゆっくり話しようね。
また連絡するね。
本当にありがとう。

という感じで、LINEの場合は「件名」と「〇〇へ」を削除すれば使えますね。

ここでは友達関係なので「ご香典」という直接的な表現の方がわかりやすいと考えて香典の単語を使用しています。


友人へのメール送付は、心の整理や諸々の事務手続の進捗からも、職場復帰のタイミングくらいが良いでしょう。


なお、以上の対応はあくまで香典に対する取り急ぎのお礼についてなので、香典返しは別途忌明けのタイミングで行なってくださいね。


まとめ

喪服_解決

やはりメールでお礼を伝えるのは、例外的な対応として許される場合があるというイメージですね。



うさロング2

そうですね。ただ、時代とともにお礼の儀礼としてメールも地位を獲得していく可能性はありますよ。


まとめると、

香典のお礼の伝え方は、あくまでも、

直接会ってお礼を伝える > 電話でお礼を伝える > 礼状で伝える > メールで伝える > (最近なら)ラインで伝える

です。


現状では礼状でお礼を伝えることが儀礼としても確立されているので、メールでのお礼は例外と考えておきましょう。

ただ、実際には、
  • 若い世代を中心にした最近のメール利用の感覚
  • 礼状よりもすみやかにお礼を伝えたいが電話連絡もむずかしい
といった事情もありうるので、

会社関係者であれ、友人関係であれ、上記のような具体的事情を踏まえてメール(友人ならLINEでも)でのお礼も許される場合があります。

具体的なメール例文については本文を参考にしてくださいね。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

【参考文献等】
以下の文献や動画を参考にさせていただきました。ありがとうございました。
・『最新ビジュアル版 冠婚葬祭お金とマナー大辞典』(主婦の友社)
・『新版・すぐ役立つ手紙の書き方』(生活ネットワーク研究会)
・『手紙・はがき・一筆箋の書き方と文例集』(主婦の友社)
・「葬儀・葬式ch 第44回「礼状の意味とは? オリジナル礼状サービスなんてあるの?」(https://youtu.be/a2HzwqgEFDM)
・「葬儀でお花を頂いた方へのお礼はどうすればいいでしょうか? 市川愛の「教えて!お葬式」vol 36」(https://youtu.be/a-x-j7e7cPE)