今般と表現するべきか、この度と表現するべきか迷っているんです…
どんな場面で使用するかによっても変わってきますね。今般の意味を中心に解説していきましょう。
普段使うことはないけれど、
TVのニュースやかしこまった文章などで耳にしたことのある
今般
という言葉ですが、
意味はバッチリでしょうか?
もちろん、
「こんばんは」の略語でもなければ、
「コンパ」とも関係がありません。
なんとなくの意味はわかっていても、
この度や今度との違いは?
なんて聞かれると
なかなか答えるのに困ってしまうもの。
そこでこの記事では、よく耳にはするけれど、
ズバッと意味を答えられない今般について、
- 読み方と意味
- この度や今回などとの違い
「今般」の読み方と意味
今般はこんぱん
と読みます。
辞書(大辞泉)では
とされています。
- この度
- 今回
- 今度
今般を「今」と「般」に分解して考えると、
般:物事・種類
となります。
この2つの意味を考え合わせると、
現在の出来事
となり、
この度、今回、今度
の意味につながります。
今般の具体的使用例
例えば、政府や自治体の公式ツイッターでの今般の具体的な使用例は以下のとおりです。
【日米地位協定の軍属補足協定に関する日米合同委員会合意に基づく米側の報告】
— 外務省 (@MofaJapan_jp) 2019年1月25日
日米地位協定の軍属補足協定に関する日米合同委員会合意に基づき米側が実施した見直しに関して,今般,在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。https://t.co/UqqDysazNR
【リチャードソン米海軍作戦部長による安倍総理大臣表敬 】
— 外務省 (@MofaJapan_jp) 2019年1月17日
安倍総理大臣は,17日,米国のリチャードソン海軍作戦部長の表敬を受け,今般新たに策定された防衛計画の大綱に基づき,日米同盟の強化や自由で開かれた海洋秩序の実現のため,一層の連携を図りたい旨述べました。https://t.co/IMCDBERwFl pic.twitter.com/nJCe9CC3Ul
東日本大震災直後から、#東京都 さんには、被災地へ多くのご支援やご協力をいただいております。今般、被災地の姿を世界に発信する動画を制作されました。出演は、岩手県にも大変ゆかりのある女優#のん さんです。本当にありがとうございます!
— 岩手県広聴広報課 (@pref_iwate) 2018年12月28日
【東京都特設ページ】https://t.co/T9R9TdQJKi https://t.co/HMxcFrYxeS
いずれのツイートも、
今般のニュアンスである、
現在の出来事
を踏まえた意味合いになっていて、
- まさに今、報告が行われたところだ。
- まさに今、述べたところだ。
- まさに今、動画が制作されたところだ。
という趣旨となっています。
「今般」は敬語?
冒頭少し触れましたが、
今般という言葉は、
報道、公の場、かしこまった文章などで使われることが多いことから、
今般は敬語なのか?
と疑問に持たれる方も多いです。
ですが、辞書で調べてみても敬語との記載はありません。
考えてみると、
今般は、かしこまった、フォーマルな印象を醸す表現です。
これはつまり、
改まり語
と位置づけられる言葉ということになります。
↓↓↓
https://the-right-manner.com/2036.html
「今般」の類語
今般の類語には、- 今度
- この度
- この程
- 今回
といった言葉があります。
類語と言いつつ、
今般の辞書の意味そのものなので、
今般と同義とも言えるのですが、
少しずつニュアンスが違うので、その点も含めて解説していきます。
今度
大辞泉では、- 何回か行われる事柄の中で、いま行われていること。また行われたばかりであること。このたび。今回。
- 最も近い将来。この次。次回。
- 最近。このごろ。
とされています。
一つ目の、「何回か行われる事柄の中で、〜」と比較すると、
今般は、複数回行われていることを前提としていないので、この意味での今度とは違いますね。
二つ目の、「最も近い将来」というのは、
今度には、
現在だけでなく近い将来も含んだ意味がある
ということです。
ですが、今般には将来を示す意味はありません。
例えば、
- ○:今度お会いする日時については、こちらから連絡いたします。 ↓
- ×:今般お会いする日時については、こちらから連絡いたします。
- ○:今度の休みの日には、海に泳ぎに行こう。 ↓
- ×:今般の休みの日には、海に泳ぎに行こう。
なので、二つ目の意味での今度と今般も違います。
三つ目の意味は、かなり今般に近いニュアンスといえます。
三つ目の意味の今度が今般の類語になろうかと思います。
ただ、
例えば、
- ○:今度札幌に転勤してまいりました、田中と申します。 ↓
- △:今般札幌に転勤してまいりました、田中と申します。
意味として間違ってはいませんが、
フォーマルな表現で使われるニュアンスの今般とはズレてしまいますね。
逆に、先ほど今般の使用例として紹介した官公庁のツイートで考えてみると、
- ○:今般、在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。 ↓
- △(ほぼ×):今度、在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。
意味として間違ってはいませんが、
フォーマルな表現の中で、今度を使用すると違和感がありますね。
この度
大辞泉では、- 今度
- 今回
- こたび
と示されています。
意味合いとしてはかなり今般に近いですね。
例えば、
- ○:今般、在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。 ↓
- ○:この度、在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。
と、置き換えてもおかしくありません。
この場合は、
フォーマルで事務的な表現には今般を使う
という運用面の違いと思われます。
ただ、この度でないとおかしな運用はあります。
例えば、
- ○:この度はご愁傷様です。 ↓
- ×:今般はご愁傷様です。
といった表現です。
今般でも意味としてはおかしくないのですが、
口語での定型的な表現に代えて今般を使うとおかしな表現になってしまいます。
くれぐれも「今般はご愁傷様です」なんて言わないように!
この程
大辞泉では- このあいだ。先日。最近。
- このたび。今度。
と示されています。
こちらも、意味合いはほぼ同じで、
今般→この程の置き換えは可能
と考えられます。
例えば、
全く違和感ありませんね。
ただ、この程も口語的に用いられる場合は、
この程→今般の置き換えは違和感あり
となります。
例えば、
- ○:この程札幌に転勤してまいりました、田中と申します。 ↓
- △:今般札幌に転勤してまいりました、田中と申します。
今度の場合と同じですね。
フォーマルな表現で使われるニュアンスの今般とはズレてしまいます。
今回
大辞泉では、
とされます。
なので、このたびと同じように、
今般→今回に置き換え可能
です。
ただ、このたびと同じように、
フォーマルで事務的な表現には、やはり今般の方がしっくりきます。
例えば、
- ○:今般、在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。
↓ - ○:今回、在日米軍から我が国に対し,同合意パラ5.d.に基づき最終的な結果等の報告が行われました。
- ○:今般新たに策定された防衛計画の大綱に基づき,〜一層の連携を図りたい旨述べました。 ↓
- ○:今回新たに策定された防衛計画の大綱に基づき,〜一層の連携を図りたい旨述べました。
意味的には違和感ありませんから、
運用面の違いと思われます。
まとめ
へぇ〜!今般の意味は深いんですね。今回、このたび、今度、この程との使い分けもよくわかりました。
いずれも現在の出来事を表現しますが、かしこまった場面での使い方が想定されますね。
まとめると、
- 読み方、こんぱん
- 意味は、この度、今回、今度で、現在の出来事を示す
- 敬語ではなく、改まり語
- 今回、このたび、今度、この程とはニュアンスや使い方が異なる
でした。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。