カメチキンカメチキン

「連絡させていただきます」と「連絡いたします」ってどちらが正しいんでしょう?



うさロングうさロング

「〜させていただきます」と「〜いたします」の区別ですね! わかりやすく解説しましょう!







あなたは

  • させていただく
  • いたします

違いと使い分け、意識されてますか?


正直に言います…


管理人は社会人になってから数年間、

「後ほど連絡させていただきます」
「後ほど連絡いたします」


の違いを意識したことは一度もありませんでした。
(;^_^A

十数年の社会人経験を経た今ではバッチリ区別できますが…。


そこでこの記事では、社会人生活の間に蓄えた管理人の知識をもとに

  • 「させていただく」と「いたします」の違い
  • 使い分けの具体例

について徹底解説していきます!



「させていただきます」「 いたします」の意味

「させていただきます」も、「いたします」も、国語的なややこしい話を抜きにすると、

「する」の敬語

となります。


敬語の中では、

「する」の謙譲語

になります。


ですので、ともに

何かを「する」ことについて自分の側を低めて表現し相手方を高める

という意味になります。



ちなみに、辞書上、それぞれどんな意味になっているかというと、

「させていただきます」=「させていただく」 + 「ます」

となり、


「させていただく」の意味は、
相手に自分がしようとする動作についての許しを願う謙譲表現
三省堂 大辞林
とされています。


また、

「いたします」=「いたす」 + 「ます」

となり、


「いたす」の意味は、
「する」の謙譲語。動作者を低めることで聞き手を敬う。
三省堂 大辞林
とされています。


このように、国語的に整理しても

「させていただきます」と「いたします」は「する」の謙譲語

ということがわかります。


謙譲語の種類については、さらに、

  • 「させていただきます」:謙譲語Ⅰ
  • 「いたします」:謙譲語Ⅱ

と分類されますが、この記事ではこの点には踏み込まず、もっとわかりやすい観点から説明します。


謙譲語Ⅰ、謙譲語Ⅱ、尊敬語などの詳しい解説はこちらの記事で確認してくださいね。
↓↓↓
謙譲語、尊敬語、丁寧語の違いをわかりやすく絵で表現したよ!一覧表で使い方もチェック!



「させていただきます」「 いたします」の違い

「する」の謙譲語として、この2つに違いはなさそうに思えますが、

先ほど紹介したとおり、「させていただきます」には

相手に自分がしようとする動作についての許しを願う

という意味があります。


この意味を細かく見てみると、

  • 相手側の許可を受けて行い(許可)
  • そのことで恩恵を受ける(恩恵)

と分けることができます。


つまり…


「させていただきます」と「 いたします」についてまとめると、

  • 共通点:「する」の謙譲語
  • 相違点:「させていただきます」は許可・恩恵が前提

となります。

使い分けの具体例

それでは、具体例について確認していきましょう。

具体例を検討するにあたっては、特に、許可・恩恵について注意する必要があります。


以下具体的に、

  • 店の都合で休業する場合
  • 上司から資料のコピーを取るよう指示された場合
  • 問い合わせに後ほど連絡するよう求められた場合
  • 会議に欠席する(出席する)場合

で考えてみます。



店の都合で休業する場合

この場合は、

  • A:本日は休業させていただきます:×
  • B:本日は休業いたします:○

となります。


というのも、休業はあくまでお店の都合。

休業することによる「恩恵」はあるにせよ、お客様の「許可」が必要なわけではありません。


お客様への配慮から「休業させていただきます」と冗長になるよりも、

「休業いたします」と表現したほうが適切な表現ですし、スッキリとします。

上司から資料のコピーを取るよう指示された場合

上司から

「誰かコピーを取ってくれないか?」

と指示され、あなたが「する」と席を立つ場合です。

この場合は、

  • A:私がさせていただきます:×
  • B:私がいたします:○

となります。

ほかに、

  • 私がします:○
  • 私が取ります:○

などの表現でも構いません。


いずれにしても、コピーはあくまで上司から指示されたもの。

あなたが許可・恩恵を求めたものではないですよね。

ですので、Aは適切ではありません。


ちなみに、上司の許可を得てコピーを取りたい場合は、

コピーを取らせていただけますか?

とするのが適切な表現です。



問い合わせに後ほど連絡する場合

この記事の冒頭で紹介した事例です。

お客様からの問い合わせに対して、お客様から折り返して連絡するよう求められた場面を想定しています。

この場合、

  • A:後ほどお電話させていただきます:×
  • B:後ほどお電話いたします:○

となります。


上司からコピーを取るよう指示があった場合の具体例と同じく、

あなたから「許可」を求めているわけではないからです。


管理人もそうだったのですが、

なんとなく、「〜させていただく」という表現のほうが、より謙虚な態度を示せるんではないかと思いがちです。

ただ、お客様によっては、へりくだりすぎる表現に不快感を感じられる方もいらっしゃいます。

うさロングうさロング

不快感を感じさせないためにも、特にお客様には適切な表現で対応したいものですね。




なお、こちらから折り返し電話させてもらうことをお願いする場合は、

後ほど(担当者から)お電話させていただいてもよろしいでしょうか?

と表現します。

会議に欠席する(出席する)場合

あなたが出席しなければならない会議に欠席する場合です。

  • A:会議に欠席させていただきます:○
  • B:会議に欠席いたします:×

となります。


本来あなたが出席を求められているような会議に欠席するなら、

欠席についての許容・恩恵のニュアンスがあるので、

「欠席させていただきます」が適切です。


逆に、単に会議への出欠を確認されたにすぎない場合は、

「欠席いたします」という表現で構いません。



また、本来的にはあなたの出席を求められていないような会議に出席する場合は、

  • A:会議に出席させていただきます:○
  • B:会議に出席いたします:×


この場合は、あなたの出席について許容・恩恵のニュアンスが含まれるからです。


逆に、単に会議への出欠確認のような場合は、

「出席いたします」で構いません。


うさロングうさロング

あなたの行為に「許容・恩恵」のニュアンスがあるのかが判断のポイントですね!





その他の使用例

「させていただく」の表現が適切なその他の場面について紹介します。

  • (上司に「許可」を求めて)
    明日の午前中は休ませていただきたいのですが
  • (上司の「許可」を得て)
    それでは出張先から直帰させていただきます
  • (相手からの提案を受けて)
    本件についてはしばらく考えさせていただきます
  • (訪問先で約束の時間に相手が不在で)
    それでは少し待たせていただきます

などが、実際によく使われる例ですね。

近年のトレンド
最近では「許容」「恩恵」の条件を満たしているかのように見立てて使う用法が広まりつつあることには注意が必要です。


例えば、

休業の例では、自己都合での休業であるにもかかわらず、

お客様へ迷惑をかけてしまうことに配慮して、

あたかも、お客様から休業を許容してもらったかのように見立てて

「休業させていただきます」

と表現するような例が増えています。


時代の流れとともに、「許容」「恩恵」の判断基準も変化していくものと思われます。


そうした背景を踏まえると、

自分の言葉遣いには厳しく、他人の誤りには寛容に

ありたいものです。

まとめ

カメチキンカメチキン

「させていただく」も「いたします」も「する」の謙譲語で同じ意味なのね。



うさロングうさロング

そうですね。使い分けでは「許容」「恩恵」という点がポイントになります!


まとめると、

「させていただく」も「いたします」も

「する」の謙譲語

です。


ちなみに、

  • 「させていただく」は謙譲語Ⅰ
  • 「いたします」は謙譲語Ⅱ

に分離されます。


また、具体的な使い分けを考えるときは、

自分の行為に対する「許容」「恩恵」があるのか

を基準にするとわかりやすいです。


ただし、近年では、

「許容」「恩恵」の条件があるかのように見立てて、「させていただく」を用いる例が増えていることに注意です。

「させていただく」と「いたします」の違いがわかってスッキリしましたか?


それでは最後までお読みいただきありがとうございました。